2010-06-16

ひなぎく Sedmikrasky

1966年 
チェコスロヴァキア
監督:ヴェラ・ヒティロヴァ
出演:イヴァナ・カルバノヴァ/イトカ・チェルトヴァ

14Feb.'08 UPLINKにて
★★★★★

映像はあまりに斬新。他に言葉がみつからない。
ファッションも、かわいい。 Aラインのワンピース。
水着や下着姿以外の、
姉妹の服はずっとシンプルなこの形だった。
インテリアも奇抜だけど、ポップで楽しい。
古さは微塵も感じられない。
40年以上もたった今でさえ新しい。

この凄まじいセンスのよさだけで大満足だったので、
内容がいまひとつよくわからなくても、
ま、いっかって感じだった。
じゃじゃ馬姉妹の自由奔放なだけの映画なのかと思っていた。

が、最後に 「踏みにじられたサラダだけを
可愛そうと思わない人にこの映画を捧げる」
とテロップが出ると、
やっぱりその背景にいろんなものを抱えているのだろうと、
察してしまった。

1966年のチェコスロヴァキア。
社会主義政権下にあってのこの自由奔放な映画。
しかも監督は女性。
ヴェラ・ヒティロヴァ監督はこの映画を撮ったために、
7年も活動休止を余儀なくされている。
彼女はこの作品のHPで、男性を批判している。
女性問題だの何だのということではないと思う。
が、 女性が映画を撮るということは、しかもあの時代では、
とても大変なことだっただろうと想像できる。
社会主義という抑圧と、そして女性だという抑圧。
「踏みにじられたサラダ」は自由を奪われた国民。
「だけを可愛そうと思わない」というのは、
女性は二重の抑圧を受けているということを
理解しているということだろうか。
だから、ガーリーな映画にしたのだろうか。

今は、彼女がこの映画を撮った時代とも、
そしてHPでこの映画のことを語った時代とも、
また違ってきているだろう。
もちろん、映画を観て楽しめばいいのだと思う。
ただちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、
このことを知っていると映画が深まるかなと思った。
そういう意味で、今度はこの視線で観たいと思った。
 (2008.2.15)

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